現在、われわれは3つの全体主義の終わりを目撃しています。第1に旧ソ連や東欧諸国に見られた政治的全体主義の終焉です。ソ連のゴルバチョフ氏の先導で行われたグラスノスチとペレストロイカ政策によって、共産主義の崩壊というよりも全体主義的政治体制の崩壊を見たのです。

 第2にわれわれが目撃しているのは、米国に代表される経済的全体主義の崩壊の過程です。1980 年後半の日本発株式市場の大暴落と、2008年アメリカ発の金融危機は、世界経済を直撃しました。市場のフォース(エネルギー)に基づいた商業至上主義という不公平な経済制度の崩壊の始まりです。

 最後に消え去るのが、宗教的全体主義です。独断的教義が宗教指導者たちによって多くの人々に押し付けられています。現在、宗教的ファンダメンタリズム(原理主義)はあらゆる宗教で権力の頂点にあり、政治にも大きく影響力を広げています。

 これら3つの全体主義の崩壊によって、人間は初めて本当の意味での自由を知るでしょう。真の自由とは、政治的自由・経済的自由と正義、そして思想と信条の自由です。

各国政府の優先事項

 現在、世界の国々の新しい信条は商業至上主義であり、それは競争と貪欲に基づいています。人々は経済的効率の名の下に文字通り死に追いやられています。商業至上主義の論理が社会的福利を蝕んでおり、この文明を破滅の淵に追いやっています。世界的株式市場の崩壊は必然的に変化と世界経済の立て直しにつながり、マイトレーヤと覚者方の出現後、彼らの指導と鼓舞の下で、各国政府の優先事項は、適切な食物と住宅と健康管理と教育を人間の普遍的権利として国民すべてに提供することになるでしょう。

商業至上主義は原子爆弾より危険

質問:マイトレーヤは、商業至上主義は原子爆弾より危険だと言われます。アメリカに住んでいると、経済優先、商業主義だらけです。この国ではすべてが商業主義を永続させるようにつくられています。経済制度の弊害を見る私のような者が、この弊害を永続させることをどう阻止できるのでしょうか。あるいは経済制度そのものの完全な崩壊を待つしかないのでしょうか。

答:それは、これかあれかどちらか一方という問題ではありません。経済優先、商業至上主義はアメリカだけに蔓延しているのではなく、世界中すべてに蔓延しています。アメリカは商業主義とそのあらゆる手段を世界中に輸出しました。グローバリゼーションは事実です。それは貿易や資源の分配の中に見られます。

 しかしそれはまた概念、つまり心(マインド)の中のアイディアです。商業至上主義は、問題に直面するとき、その最も効果的な解決法は最大の利益を生むように開発された最も効果的なビジネス手段だという考えをつくり出します。市場指向の経済を通して、つまりマイトレーヤが言われる市場指向哲学の盲目的追随を通して、すべての問題はマーケティングという形で解決可能だと見なされます。

 市場のフォースはあたかも世界の経済問題を解決する魔法の杖のように考えられています。

 ……商業至上主義の危険性は、第三世界の人々への搾取とはまた別に、人間の概念や、価値観、世界観を商業化してしまうことです。ですからマイトレーヤは、それは原子爆弾より危険だと言われるのです。ひっそりと、巧妙に生活のあらゆる面に入り込んできて乗っ取ります。企業経済と利潤追求が、政治、医療、教育の基準になってしまいます。それが教育や医療、あるいは民主的政治の過程に占める場はありません。それなのに、浸透することが許され、そしてこれらの、基本的には人類への奉仕活動であるべきはずのものをコントロールするのです。それが危険なのです。非常に微妙なので、私たちは起こっていることに気がつきません。……

 証券取引所は、特定の会社の金融状態を(単に書類上で)登録するのに用いられます。取引所に上場され株価が上がっていれば人々は投資します。買い得だからです。下がれば売ります。彼らは賭をしているのです。ただお金をある会社に何%かで一定の期間貸し、座って待っているだけです。賭の勝利金で暮らしているのです。悪銭です。……

 マイトレーヤが商業主義を「原子爆弾より危険である」として悪のリストの高位に置かれているのは、この理由によるのです。それは原子爆弾より目に見えないものだからです。

 「私たちは完全な経済の崩壊を待たねばならないのか」という質問ですが、現在起こっていることを直視しなければなりません。意識していなければなりません。意識していれば、物事全体を表面に見える通りに受け取ることはないのです。単純に、「これはずいぶん安くなっている。結構じゃないか。値段が下がってきた、いいぞ!」とは言えないでしょう。安くなるということは、アフリカでそれを作った人はもっと安い代価しか受け取っていないということです。個人で変えることができませんが、あなたのそれに対する態度を変えることはできます。そして実際に何が起きているのかを認識することはできるのです。もしマイトレーヤが正しければ、それはもう終わりなのです。終わりを早める一押しに手を貸すことができるのです。

商業至上主義が環境破壊の元凶

 今や環境汚染が世界における第一の殺人者であり、人類の免疫組織を破壊し、抵抗力を奪っています。しかし、私たちは、世界最悪の汚染が核放射能であることを知りません。世界中の原子力発電所から放出されている核放射能の真の危険性は現代の粗雑な計測器では測定できません。物資界には7つの亜界があり、低位3亜界(固体、液体、気体)の上位には人間がその存在すら知らない精妙な4つの亜界(エーテル界)があり、核放射能がそこに蓄積されており、それが人類に最大の損傷を引き起こしているのです。人間の免疫組織が破壊されるため、抵抗力が弱まり、若年性アルツハイマーなどの原因がここにあります。原子力発電所われわれは核放射能で汚染された世界に住んでいるにもかかわらず、既得権者は原子力発電所のさらなる建設を提唱します。そこから莫大な利益が得られるからです。これが貪欲と利己主義、競争に基づいた商業至上主義の最悪の姿です。マイトレーヤは公に出現された後、原子力発電所を直ちに閉鎖するよう示唆されるでしょう。人類が平和・正義・分かち合いの原則を受け入れ、世界を再生していく時、光のテクノロジーの科学が人類に明かされるでしょう。

S.O.P. “惑星の救済”

 「人類が彼らの住まいである惑星の生態系の不均衡がいかに深刻であるかに気づくとき、その状況の改善のために極めて緊急に必要とされるステップを取らなければならない。もし十分な決意で対応することに失敗するならば、人類はこの惑星を徐々に、しかし必然的な破壊に陥れることになる。そうすると、どんな遺産を子孫に引き渡すことになるのか。この自己破壊を蔓延させないためには、すべての者が共に行動し、必要な犠牲を払わなければならない。これは惑星の保全に対する態度の変更、および今日人間の必要と見なされているところのものについての完全な変更を必要とする。

 ある人々にとっては、必要とされる変化を承認することは容易ではないだろう。しかし、そのような変化によってのみ、この惑星のいのちは保証され得る。すでに地球上欠くことのできない森林の蓄えに深い食い込みが起こっている。森林の乱伐は、酸素の減少と炭酸ガスの上昇を生じさせた。これは今や危機的段階にあり、即刻、行動する必要がある。

 地球温暖化の現実は今や大勢の人々の心(マインド)に目覚めつつある、しかし、圧倒的な証拠にもかかわらず、人間の行動が原因であることを否定する者たちがまだいる。

 わたしたち、あなた方の兄たちは、人間の行動が地球温暖化の80%に責任があるということを、完全な確信をもって言うことができる。

 マイトレーヤがこの緊急の問題に人間の注目を向けさせるのは、遠い先のことではないだろう。彼は人間に選択肢を突き付けるだろうーー 一つは、今行動することによる有益な結果か、そしてもう一つは、何もしないことから、あるいはあまりにも少ない行動の結果としての破壊か。かくして、決断は人間のみが行う。

 人間がこれを理解するとき、彼らはまさにこの大義の下に結集するだろう。彼らの子供たちの未来が現在の行動に依存していることを知るだろう。そしてマイトレーヤと彼のグループから、彼らが取るべき必要なステップを引き出すだろう。マイトレーヤは、より簡素な生活を、惑星の状況の現実により見合った生活を提唱するだろう。これが必要であることを十分に多くの人々が確信するとき、簡素化への運動が惑星全体を通じてますます大きく広まるだろう。何千万の人間が変化の必要に鼓舞されて、それは極めて尋常ならざる速さで進むだろう。このようにして、地球という惑星が直面する最も深刻な危険は、いくらか押しとどめられるだろう。これが多くの人々を勇気づけて、彼らはさらなる変化への用意を進めるだろう。必要な変化のジレンマに直面して、人間は分かち合いの原則を受け入れることの必然性に気づくことになるだろう。分かち合いのみが、これらの変化を実際的で可能なものにするだろう。分かち合いを通してのみ、この惑星の賜物(おくりもの)はうまく利用される。分かち合いを通してのみ、この賜物は正しく管理されるだろう。このようにしてのみ、惑星自体はその環境およびその住民と調和して生きることができる」

(『シェア・インターナショナル』誌、2007年5月号「覚者より」)

 
変容とアプローチ