「経済ヒットマンの告白」ジョン・パーキンス氏へのインタビュー

SI誌2005年4月号より

聞き手:シェア・ギルモア

ベストセラーとなった『経済ヒットマンの告白(Confessions of an Economic Hit Man)』の著者、アメリカ人のジョン・パーキンス氏は、1971年から1980年まで国際的なコンサルティング会社、チャールズ・T・メイン社に勤務し、その後、酸性雨を防ぎながら石炭発電を行うことが可能なことを証明した営利会社、インディペンディント・パワー・システムズ社を設立した。さらにパーキンス氏は、人々の意識を変革し、先住民族が石油会社の侵略から熱帯雨林を守るのを支援するため、非営利のドリーム・チェンジ連合を設立、パチャママ同盟、経済倫理研究所その他の非営利会社を共同設立した。

パーキンス氏の本の論調や内容は、序文の第一段落で定まっている。「経済ヒットマンとは、世界中の国々から何兆ドルも騙し取る、高給取りの専門家のことである。彼らは金を、世界銀行や米国国際開発局(USAID)やその他の外国の‘援助’機関から、巨大企業の金庫の中に、あるいは、地球の資源を牛耳る少数の裕福な家庭の懐の中に注ぎ込む。彼らが使う手段には、不正な経済報告書、不正な選挙、贈収賄、恐喝、セックス、殺人などが含まれる。彼らは、帝国と同じくらい古くからある策略を弄するが、このグローバリゼーションの時代を迎え、それは新たな恐ろしい様相を呈するようになった。私は知るべきだ、自分がそのような経済ヒットマンだったことを」


シェア・インターナショナル(以下SI):‘経済ヒットマン’のシステムはどのように機能しているのですか。

ジョン・パーキンス:私たちの仕事は基本的に、帝国を建設することです。世界史上初めて、本当に地球的な規模の帝国を建設することができました。大部分について、軍事力に頼らないで建設しました。しかも皇帝や王がいないという点で、独特な帝国です。その代わりに、私が「コーポレートクラシー」と呼ぶ階層−−巨大企業、銀行、政府を動かす男性グループや少数の女性−−がいます。
この帝国を建設する方法はたくさんありますが、おそらく最も典型的な形としては、まず石油などの、世界中が欲しがっている資源を持つ開発途上国に目を付けます。それから、世界銀行やその関連団体から、その国に対して多額の貸し付けを行います。貸付金の大部分は発電所、港湾、工業団地などの、その国の金持ちの懐を潤すことになる大規模なインフラ建設プロジェクトの費用として、ベクテル社、ハリバートン社、ストーン・アンド・ウェブスター社のような、聞き覚えのあるアメリカの大企業に直接流れ込みます。それから、その国は巨額の負債を抱えたまま取り残されます。あまりに大きな額なので、返済は不可能です。頃合いを見て、経済ヒットマンが戻ってきてこう言います。「いいですか、よく聞いてください。あなた方は私たちから大金を借りています。あなた方に返済はできないので、その代わりこうしてください。石油を私たちの会社に本当に安く売るか、あるいは、あなた方の土地に私たちが軍事基地を建設するのを許可するか、あるいは、国連で次に重要な選挙があったときに我が国に投票するか、あるいは、あなた方の支持が必要なときには軍隊をイラクのような所に派遣しほしい」と。そうした過程によって、この驚異の帝国は建設されます。

SI:あなたが経済ヒットマンとしてサウジアラビアにいたとき、コーポレートクラシーとテロリズムの間にどんな結びつきがあったか説明していただけますか。

パーキンス:1970年代初め、OPEC(石油輸出国機構)は石油の供給を止め、私たちをひざまずかせました。車はガソリンスタンドで長蛇の列を作り、私たちは1929年のような大恐慌が再来するのではないかと心配しました。財務省の人が、私のような経済ヒットマンのところにきて、「OPECの人質になるのは真っ平御免だ。二度とこんなことにならないように計画を立ててくれないか」と言いました。そうした計画の鍵を握るのはサウジアラビアだということは分かっていました。サウジはどこの国よりも石油の埋蔵量が多く、基本的に供給量をコントロールできたからです。しかも王家、サウド家には賄賂が利きました。ですから私たちはサウジに行きました。そして手短に言えば、サウジが世界中で石油を売ることで稼いだお金の大半をアメリカに送り、サウジ政府の安全保障に投資するよう取引を結んだのです。アメリカ財務省は、そうした安全保障を提供することで得た利益を使ってアメリカの会社を雇い、サウジを欧米に似た国−−海水脱塩施設、高速道路、港湾、発電所、砂漠に浮かぶ都市がある国−−にしようとしました。ですから現在、サウジは非常に西洋化した国になっています。

取引の中には、サウド家が石油価格を許容範囲内に維持することに合意すれば、サウド家が取引の目的を達する限り、私たちはサウド家を政権の座につかせることに合意する、といったものもありました。こうしたすべてのことが現在まで適切に機能し、すべてうまくいっていました。しかし、CIAが「ブローバック」と呼ぶものも生じました。このCIAの用語は、一見成功したように見えますが、予期しない重大な結果を生むことになる隠密行動を意味します。イスラム社会では、サウジで起こったことについて、サウド家にすさまじい怒りが向けられています。イスラム教徒は、彼らの最も神聖な場所であるメッカやメディナが西洋化した都市や、石油化学施設や、マクドナルドに取り囲まれているのを見て、嬉しいとは思わないからです。ここに至って、サウジは大変不安定になっています。この国では暗殺が横行し、暴力が多発しています。不満が高まり、失業率も上昇しています。他の多くの場所と同じように、石油はほとんどの人にとって恩恵をもたらすものではなく、呪われたものであることが判明しました。こうしたあらゆることが、イスラム世界ですさまじい怒りが巻き起こる原因になり、それは直接的にも間接的にも、アルカイダなどのテロ運動と結びつきました。

SI:今後、中東で何が起こると思いますか。

パーキンス:私たちは中東に大変危険で不安定な情勢をつくってしまったと思います。もちろん、このようなことを行った理由の一つは、石油を中東から大量に輸入している中国、日本、韓国を支配したいからです。私たちはそれほど中東に石油を依存しているわけではありませんが、これらの国はそうです。ですから、それが私たちの政策の一部になってきました。私たちは是非ともイラン、イラク、シリア、サウジアラビア、クウェートの石油を支配したいのですが、イラクではどんどん泥沼にはまっていったというのが実情です。そうした過程で、9・11の時に私たちが抱いた怒りよりもはるかに大きな怒りを買うことになりました。イラクには今、テロリストの大勢力がおります。その多くはイラク人ではありません。もしアメリカ政権が、(裏目に出たように思える)最近の選挙を、イラク撤退の口実として利用することができるとすれば、養育され、訓練され、本当に怒りに満ちた、そうしたすべてのテロリストはどうなるでしょうか。どこに行こうとするでしょうか。

SI:すべての帝国はやがて崩壊し、通常は新しい帝国が、死にかかった帝国に取って代わるとあなたは述べています。しかし、あなたは別の可能性をも提示しています−−私たちは目覚めて、すべての国民との世界資源の分かち合いに向けて懸命に取り組むことができるという可能性です。手遅れになる前に私たちが目覚めるには、どうしたらよいのでしょうか。

パーキンス:私たちは目覚めつつあります。自分の心に従うとき、私たちは目覚めているのです。私が経済ヒットマンだったとき、心の底では、自分が間違ったことをしていることを知っていました。しかし合理的に考えたり、ビジネス書や世界銀行の報告書を見たりして、自分がしていることは正しいことだと自分に言い聞かせようとしました。私たちは今、たいていのアメリカ人や世界中の人々が、現実に起こっていることを見て心を悩ましている段階にいます。心の底では、変わる必要があることをよく知っています。しかし、変わる必要がないと思い込むのは大変都合が良く、楽なのです。あらゆるデータが、変わる必要などないと思い込ませようとするため、変化を起こせば、生活が快適でなくなるのではないかと恐れてしまいます。しかしそれが本当だとは思いません。様々な意味で、生活はずっと良くなると思います。ですから多分、心をもっと大きく開いて、心が語りかけることに耳を傾けなければなりません。

SI:帝国の構造が崩壊し始めている証拠が見えますか。

パーキンス:はい、この帝国に大きな亀裂が入り始めている著しい証拠が見られます。1997年には、‘アジアの虎’が経済崩壊を経験しました。その崩壊はIMFや世界銀行の政策と大いに関連していました。そうした崩壊が今日、中国や日本、そして韓国にも忍び寄っています。ある意味で私たちと対立するような、新しいアジア連合が形成されつつあるようです。これは南米でも起こっています。南米の6カ国、チリ、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、ベネズエラ、エクアドルはすべて、本質的に帝国とは相容れない基盤に立った指導者を選出しました。

冷戦の最中に非常に強固であった大西洋連合にも、大きな亀裂が現れてきています。フランス人が私たちとどのような関係を持とうとしているかは非常に明らかです。ドイツ人も本当に私たちに立ち向かってきています。さらに欧州連合やユーロの出現などもすべて、帝国にひびが入っている証拠です。

世界中で、非常に力強い社会運動が起きています。私はブラジルのポルトアレグレでの世界社会フォーラムから帰ってきたばかりですが、驚いたことに、15万5,000人もの人々がそこに集まりました。彼らは全員、アメリカ帝国のことを大変不安に思っています。アメリカ国内でも経済が破綻をきたしています。システムに大きな亀裂が入っており、このすべては帝国が崩壊し始めていることを示しています。だからこそ、コーポレートクラシーの人々は非常に威圧的な、マッチョな態度を取っているのです。

SI:世界の最貧地域のためのマーシャルプランは、私たちの破滅的な進路を変更するための良い方法だと思いますか。

パーキンス:マーシャルプラン、世界銀行、米州開発銀行、アジア開発銀行、これらはすべて、真の変化への可能性の種を宿しています−−その種のことを、明るい未来と呼んでもかまわないでしょう。世界に同情の手を差し伸べ、世界の最大の問題を解決するシステムは、すべて整っています。毎日2万4,000人が飢えのために死亡し、3万人の子供が医薬品の不足のために死亡しています。これは不必要なことです。その子供たちの家族や周りの人たちは大変怒っています。しかも彼らは、このようなことが起きているのは、問題に対処するシステムが悪いからというだけでなく、問題を引き起こすような条件を、私たちがそうした国々に押し付けているからだということも知っています。それでも、こうした銀行や、さらには実際に巨大企業さえも、問題を解決する能力は持っているのです。

もしアメリカ人が前面に出てきて、コカコーラ社、ナイキ社、マクドナルド社は、世界中で誰一人として、水や衣服や食糧に困らないにようにすることを保証する、と主張したらどうなるか想像してみてください。これらの組織にはそうする能力があります。そうするだけの財源を手にしているからです。もし、そうした企業がこのような公約をすれば、他の競争相手も同じ公約をしないわけにいかないでしょう。

私たちがつくり上げたこの帝国は、ある独特な側面を持っています。この帝国はもともと、非常に高い理想と道徳基準を持った国によって、人民による、人民のための、人民の政府を信じた人たちによって、つくられました。彼らはすべての人が、生きる権利、自由を享受する権利、幸福を追求する権利を持っていると信じていました。それは、私たちの最も神聖な文書にも記されています。しかしその政府は、企業による、企業のための、企業の政府になってしまいました。私たちは、地球の隅々にまで手を伸ばすことができるようなシステムをつくり上げました。しかし、そこにこそ、希望があると思います。全世界のためのマーシャルプラン、あるいは、全世界に手を差し伸べる世界銀行やIMFというのは、実現する可能性が非常に高いものです。それが究極的には、9・11の結果になるのかもしれません。恐らくもう数年かかるでしょうが、私たちは今こそこのような問題を解決するために、全身全霊を傾け始める必要があるということを理解するようになるでしょう。

SI:なぜ本を書く気になったのですか。

パーキンス:9・11後、私はグラウンドゼロに行ってそこに立ち、恐ろしい破壊の跡を見ました。この話は誰にも言わないと何度も誓っていたのですが、そのとき、この話を公にしなければならないと思いました。そうしなければならない理由は数多くありましたが、やむにやまれない理由の一つは22歳になる私の娘でした。娘のためにより良い世界を築き上げるには、世界にある怒り、憎しみ、苦しみの根本原因を取り除くことによって、その構築に力を尽くす以外にありません。空港や軍隊の警備員が、私たちをより安全にすることはないでしょう。より安全に暮らすには、世界中のすべての人が一致団結し、真の愛、繁栄、平和を実現できるよう、全力で助け合うしかありません。


John Perkins, Confessions of an Economic Hit Man. Berrett-Koehler Publishers, San Francisco, 2004.

より詳しい情報をお求めの方は下記のホームページを訪問してください。
www.johnperkins.org
 
 
 
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