英ジャーナリスト、グレッグ・パラスト氏へのインタビュー

SI誌2004年12月号より

「詐欺技術の完成」

聞き手:フェリシティ・エリオット

グレッグ・パラスト氏は『お金で買うことのできる最高の民主主義(The Best Democracy Money Can Buy)』の著者である(シェア・インターナショナル誌2002年, 7/8月号のレビュー参照)。マイケル・ムーア氏は彼のBBC番組への報道を‘勇敢だ’と評し、ノアム・チョムスキー氏は、彼は「すべての正しい人々を憤慨させる」と言っている。

イギリスでパラスト氏は「我々の時代の最も影響力のある調査熱心なレポーター」として知られている(イギリスのトリビューン誌)。しかし、受賞を勝ち取った彼の調査報道はアメリカの放送電波には受け入れられなかった。イギリスの新聞『ガーディアン』のための彼の記事は、ぎりぎりのところで差し止められた。
票の窃盗によるフロリダでの不正選挙やブッシュ一族とビン・ラディンとの関係に関する報道でグレッグ・パラスト氏はアメリカではよく知られているが、これがマイケル・ムーア氏の最近の映画『華氏911』の基礎となった。
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シェア・インターナショナル(SI):2004年11月のアメリカ大統領選挙の際には広範囲におよぶ詐欺行為−−2000年の時以上の−−があったと、多くの人が疑っています。共和党員は腐敗した選挙慣行を完成させたようです。これがあなたの見解ですか?

グレッグ・パラスト:共和党は2000年の選挙で上手に窃盗をやりました。私たちはそのことを疑っていません。私たちには確かな証拠があります。私の本『お金で買うことのできる最高の民主主義』であなたが読んだのはそのことです。彼らは今回再び、ありとあらゆる新しいトリック・古いトリックを用いました。

SI:これらのトリックの幾つかについて話していただけますか?

パラスト:古いトリックでは、偽りの口実で犯罪者でない人を犯罪者として選挙人名簿から削除し続けました。彼らは仮想的な「不法選挙人」のコンセプトを拡大して、この半世紀の間で初めてアメリカの黒人の選挙権に対し攻撃を開始したのです。彼らは、非常に多くの黒人の登録に異議を唱え、次いで実際の投票権に異議を唱えました。

SI:全くすさまじい話です。

パラスト:驚くべきことです。共和党員にとって異議申し立ては非常に簡単な手法で十分です。誰かがサインを少し変えて書いたとか、あるいは、イニシャルを付け加えたとか、または彼らの住所を少し移動さたとか、あるいはまた、彼らが特別なIDカードを持参していなかったなどです。

私はフロリダの選挙管理事務所の職員に確かめたのですが、そこで共和党員が異議申し立てをした数千人の黒人選挙人の名簿を手に入れることができたのです。そして12名の選挙管理人がそれまでの全勤務期間にわたって、以前は誰かの投票行動が異議申し立てをされたことはなかったと、私に言いました。

SI:それでは、黒人の選挙人が特に標的にされたのですね。

パラスト:人種差別時代にはそれが行われていました。南部では、人種差別時代には、実際に黒人の投票に反対する法律はありませんでした−−しかし、黒人を投票させないために適用される規制や慣行がありました。共和党は今回の選挙で急にこの古いトリックに立ち戻ったのです。そして重要でない規則を採用して黒人選挙人に適用したのです。それは簡単なことです−−アメリカでは白人と黒人とは一緒に住んでいないので、投票所は別々なんです。

SI:ヒスパニック系のような民族出身の人々の場合はどうですか。

パラスト:投票総数の非常に多いニューメキシコから、私は、多くの異議申し立てがあったという情報を受け取ったばかりです。しかし私は、アメリカインディアンに関する情報も入手しています。彼らは、黒人と同様に、民主党への堅実な投票者です。そこでは独特の新しいトリックが使われました−−彼らは暫定的な投票用紙を手渡されたのです。

SI:暫定的な投票用紙というのは何ですか。

パラスト:それは模造投票用紙のようなもので、恐らく集計されない用紙だと思います。それは暫定的に与えられるのですが、「この投票は勘定に入れるかどうか分からないよ」といった類のものです。それから検査され、選挙が終わってから論争の対象になるのです。その投票が数えられるかどうかは州の役人次第です。オハイオ州の場合には、投票集計の全過程の責任者である現在の国務長官ブラックウェル氏は、キャサリン・ハリス氏(2000年のフロリダ州国務長官)をトマス・ジェファーソンのような人に仕立てています。

SI:部外者にとっては、そのような明らかに党派心の強いものが票の集計係になるということが理解できないのですが。

パラスト:そうですね。多くのアメリカ人にとっては理解できないことです。激しい党派心の強い人がいるのです。ハリスやブラックウェルの場合ですが、彼らは実際にブッシュ宣伝グループの役員です。そういうわけで、政治家や宣伝グループの役員が票集計人になるということがあるのです。最近までは、これらの役員は慎重であるように心がけていました−−しかし最近はもうそのようなことはありません。

SI:外部の観察者が見ても、態度は硬化してきており、投票の誤魔化しはますます大胆になっているようです。

パラスト:そのとおりです。(オハイオ州ではケリー氏が敗れたのですが)オハイオ州の国務長官ブラックウェル氏は、2000年のフロリダでのキャサリン・ハリス氏の行為を模倣しようとしたのかと尋ねられたとき、彼は『私が彼女を最後に見たのは、失業者がパンをもらうために並んでいる列の中ではなく、国会の中でしたよ』と言ったのです! 言葉を換えて言えば、「自分の仕事をうまくやりなさい、そしてジョージ・ブッシュ氏に国を明け渡しなさい。そうすれば報酬をもらえるのです」というわけです。
オハイオ州では悪意のある人種差別主義の策略が用いられました。ブラックウェル氏が登録用紙を手渡し、その用紙を黒人たちが返却すると、彼らは「間違った用紙に登録してあるので受け入れられていない」と言われたのです! もしあなたが黒人ならば、登録を取り消される可能性は3倍も高いのです。
オハイオの予備選挙では、大量の異議申し立てによって約20万の投票数が差し押さえられてしまいました。さらにアメリカには集計されない約200万の投票があるのです−−これもまたヨーロッパの人にとっては驚くべきことでしょう−−それは捨てられたのです。

SI:なぜですか。

パラスト:技術的な理由です。私たちの機械は通常は非常に粗悪なものです。人々は投票に行きますが、機械が彼らの投票を記録しないか、あるいは投票用紙に余分のマークをつけるか、などです。

約200万の票の半分以上が黒人の投票によるものであることを私たち知っています。今回オハイオでは集計されなかった票が9万3,000もありました。チェックしたところ、その票は圧倒的に黒人や貧困層が投票したもので、また彼らは圧倒的に民主党支持者たちだったのです。ところで、もし台無しになった投票用紙を予備投票用紙に加えたら(私たちは誰がこの両方の種類を振り分けたか知っています)ジョージ・ブッシュ氏はオハイオ州では負けていたでしょう。

SI:ニューメキシコについてはどうですか。

パラスト:ニューメキシコでも話は同じです。票の集計をしない場合には二つの問題があります。もしすべての票が集計されていたら、ニューメキシコではケリーが本当は勝っていたことを私たちは知っています。オハイオでも同じです。しかし、もし、不当に投票所から排除されたという理由で最初に投票を阻止された人たちを含めた場合には、他のどれだけの州がケリーの側についたか分かりません。おそらくフロリダと他の2、3の州がそうしたでしょう。

そのようにして、共和党員は黒人の投票を抑圧する技法を完成させたのです。彼らが黒人選挙人を標的にしたのは黒人が政治的に脆弱だからです。黒人はある地域に集中して住んでいるので、彼らは黒人に粗悪な機械を与え、そして『投票を渋滞させる』ことさえできるのです。私は、行列が長くて投票に7時間以上も待たなければならなかった幾つかの場所を知っています。ニューヨーク・タイムズ紙はこれらの長い行列について報道しましたが、それらの大部分が黒人社会であったことについては報道しませんでした。

SI:アメリカのメディアについてお尋ねしたかったのですが。

パラスト:アメリカの新聞は、アメリカがアパルトヘイト的な投票システムを持ち続けており、しかもそれが改善されずに悪くなってきていることを直視しようとしません。私は投票の専門家に話しました。投票場出口調査では、ケリーがオハイオ、ニューメキシコ、フロリダおよび他の幾つかの州で勝っていました。投票場出口調査は(調査員によって)公式の投票が確定されたか否かを決めるために用いられます。それで人々が投票をしたと言ったことと機械に記録された投票との間に不一致があったのです。重大な問題です。非常に多くの票が数えられていないという事実があるのですから、その大部分は重大な責任があります。投票してもそれが数えられるのかどうか分からないのです。

他の問題は、私たちが非常に奇妙な結果を与えるコンピューターによる投票に移行しているということです。特に小さな地方の郡部ではそうです。コンピューターでゲームをした方がもっと簡単そうです。そして誰もそれに気づかず、あるいは誰も異議申し立てをするパワーがないのです。そこで主として民主党支持の場所で先日民主党に投票をしたところ、チェックしようのない機械で突然ジョージ・ブッシュ氏に大量の票が集計されたというわけです。それがフロリダでの極端な例です。

SI:フロリダ現象について説明していただけませんか。部外者にとっては2000年の失敗の後でブッシュ氏がそこで勝つとは信じられないことです!

パラスト:フロリダは古い南部の一部−−古い農園のある南部−−であることを理解しなければなりません。マイアミやパームビーチを離れるとそこは別の世界です。第一に、大統領の兄弟がこの重要な州の票集計係なのです。それから、そこでは何万といういわゆる「不法投票者」の排除が行われました。ところがそれらの人々は、選挙後には選挙人名簿に再び記録されることになるでしょう。そこでは、何万というより何十万の選挙人が排除されたのです。前の選挙よりも今回の方がもっと悪いです。さらに、不正行為や修正票以外の正真正銘の失われた票−−貧弱な機械のために失われた票があったのです。

そこには、もう一つの要因−−文化の問題−−がありました。

SI:それはどういう意味ですか?

パラスト:そこには、愛でも戦争でも選挙でもすべて結構、という情緒的なものがあります。一票を盗むことができるならば、やっちゃえ、です。民主党の方がそのことでは「上手」で、大都市で死人に代わって投票したりしていました。しかし、現在は共和党の方がお金を持っており、これまで話してきたあらゆる新しい精巧な方法で、投票をやめさせる方法を考え付いたのです。そして、コンピューターの到来が不正投票行為を非常に促進しました。

SI:共和党は大胆になっているようです。ケリー氏が敗北を認めたのは早すぎたと思いますか。

パラスト:そうですね、彼は政治的な計算をしたのです。そして彼は最高裁で終わってしまうということを知っていました。最高裁は誰でもが知っているように買収された機関、つまり政治的な機関です。ケリーが票を持っていたとしても彼らは決してそれを数えようとしないのだから、問題を解決しようという雰囲気がなかったのです。結局、イラクのように適当な傀儡独裁者を任命して民主主義と称しているのは政府なのです。

SI:そしてそれがある地域だけの「選挙」を管理しているのですね。

パラスト:はい、その通りです。それは馬鹿げたことのように見えます。しかしこれは危険な麻薬です−−アメリカの民主主義に打撃を与えただけでなく、他の世界に悪い影響を与えるものです。

SI:民主主義への専心にアメリカが失敗したということは、世界におけるアメリカの立場に打撃を与えました。これに同意されますか。

パラスト:ブッシュ政権は、アメリカに対する世界の善意を浪費しました。その善意を私たちはクリントン政権下で楽しく味わい、そして9/11の後には同情されました。クリントンが築き上げたすべての善意を、ジョージ・ブッシュ氏が破壊し投げ捨ててしまったのです。
 
 
 
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シェア・インターナショナル誌 最新号: 2006年4月号の記事より

過去シェア・インターナショナル誌に掲載された方々のインタビュー記事の一例

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